――都内某所 3:00pm――

それではカメラ来ます!!
準備いいですか?
5・4・・・・
現場の責任者が残りの3・2・1を指で合図して、キューと新人アナウンスの子に示す。
一瞬の緊張の後、いつものように洋子はカメラに向かって最上の笑顔を作って話し始めた。



―はーい、皆さんこんにちわ♪今週は都内○○での街角インタビューです。
  今日のターゲットはかっこいい男の子!!
  早速かっこいい子を探しに行きたいと思いますvv
  それじゃぁ、出発!!

元気よく言い切って、洋子は辺りを見回し始めた。その合間に店の紹介なんかをこなしながら、ふと目が通りを歩く二人の人間に釘付けになった。どこから見ても文句なしにかっこいい男だ!この業界でさえも見かけないのではと思うほどの!!
迷うことなく足を向けて、二人の目の前に立った。遠くから見るよりも数倍かっこいい顔に一瞬見とれて、それからマイクを向けた。


―こんにちわ、街角インタビューです。協力していただけますか?

二人のうちの一人、恐らく二十代前後の青年は突然の事に驚いたように目を見張り、それから連れの方へと視線を流した。するとその視線を受けて、連れである少し色素の薄い髪の持ち主はゆったりと微笑み、カメラの後ろを指差して見せる。それにつられる様に黒髪の青年は後ろを見遣り、ため息をついた。視線の先には“生放送中!!協力お願いします!!”というボードがあるに違いない。
そのため息に謝りたくなりがなら、洋子は再び同じ質問を口にした。
すると諦めたのか黒髪の青年は小さく笑って、それから頷いたのだった。



というわけで、街角インタビューです(笑)
どんなに高耶さんが素直でおかしかろうと怒らないでくださいね。
ここは五味箱ですから(笑)
そうそう、もちろん黒髪の青年は高耶さんで、もう一人(笑)は、直江です。
それで、ここから先はインタビュー形式です



―それではまず、今日は何をしに来られたんですか?

「う〜ん、買い物かな。特にこれってことがあるわけではないんだけど」

―えっと、隣の方と一緒にですか?どのような関係か聞いても?

「・・・関係・・・。そんな立派なものはないけど、・・・知り合いの坊さん、かな?」

(高耶、後ろにおとなしく控えている直江のほうを見上げる。その表情に笑みを浮かべながら、直江は頷く)

「そうですねぇ(笑)」

―お坊さんなんですか・・・。なんだかすごい見目麗しいお坊さんですね・・・

「ははは、女たらしだもんなぁ?」

(高耶の嬉しそうな言葉に直江は肩を落とす) 

「高耶さん・・・」

―それでは、カメラにも慣れてきたようですから、つっこんだ質問、いきます!!
  今日のテーマは“恋愛”です♪
  ではまず、彼女はいますか?

「恋人は・・・う〜ん、いる、かな?」

―?なんだか、微妙な言い方ですが、やはりいるんですかぁ。
  かっこいいですもんねぇ。周りの人たちがほっとかないでしょう(笑)

「ある意味ほっといてくれない奴は多いけど、もてたことはないな」

―逆に手を出しにくかったんですよ、それは。
  それで次は、彼女についての質問です。いつ、知り合ったんですか?

「あぁ〜・・・再会したのは少し前かな。昔からの付き合いだったけど」

―幼馴染、ですか?なんだか、いいですねぇ。
  では次は、その彼女を動物に例えると?

「それは、やっぱり犬かな。なんたって、本人がそう言ってたし(笑)」

―犬、ですか?それは小さくて可愛いって事でしょうか?

「可愛い・・・(笑)まぁ、そういう事で」
(チラッと、直江の方を見て、高耶は笑う)

―では、次の質問。浮気したり、あるいはされたと思ったことは?

「オレは浮気でいるほど器用じゃないからないけど、あいつはどうだか。昔はよくオレのしらねー奴の香水を、匂わせていたこともあったし?」
(直江、高耶の言葉に一瞬表情を硬くする。それを見て、高耶が小さく笑う)

―それは、決定的ですね・・・それで今は?

「さぁ、わかんねーけど、してないだろうな。そんなことしてたら、速攻で別れるって分かってるだろうし」

―そうですか、では最後にその恋人に向かって一言。

「えっ、ここで?う〜ん、…えっと…これからもずっと一緒にいような…」
(高耶、照れて下を向いて呟くように言う)

――その人の事、本当に大切に思われてるんですね。うらやましいです。
    ご協力ありがとうございました!次は、奥の方いいですか?

「私も、ですか?」

――えぇ、出来れば、よろしいでしょうか?

「やってやれよ、オレにだってさせたんだから」
(高耶、少し困ったような直江をからかうように笑う)

「…分かりました、あなたがそういうのなら」

――ありがとうございます!でも、なんだか今の言い方裏が深そうで、どきどきですが、実際彼との関係は?どこで知り合ったんですか?

「知り合ったのは、…かなり昔ですね。家の関係で知り合ったので」

――と言う事は、親戚とか、そういうのでしょうか?

「まぁ、そんなに恐れ多い物でもないですが」

――?恐れ多い、ですか。まぁ、では次の質問に。恋人はおられますか?

「います」

――こちらは、はっきりですね。こんなに素敵な方の恋人でしたら、本当に素敵なんでしょうね

「えぇ。世界で一番綺麗で強くて、甘えたがりで可愛い人なんです」
(直江、にっこりと最上の笑みを浮かべて答える。それに高耶がむせたように咳をする)
「な、何言って・・・!!」

「私の恋人の事なんですから、いくらあなたでもけちはつけさせませんからね」

――えっと、すごいのろけでしたが・・・こっちの黒髪の彼も、ご存知の方なんですか?

「知ってますよね?」

「・・・あぁ・・・」

――あなたから見てどんな人なんでしょうか?

「えっ・・・どんなって・・・。・・・・・・ノーコメント・・・」
(顔を赤くして、困ったように下を向いてしまった高耶を不思議そうにレポーターが見つめる)
――ノーコメント、ですか。じゃぁ、質問を変えて、お二人は似合ってると思いますか?

「えっ、似合って・・・・・・ると思う」

――ありがとうございます。それはじゃぁ、やっぱり素敵な方なんですね。
   えっと、次の質問です。その素敵な方を動物に例えると?

「そう、ですね。猫でしょうか、じゃなかったら虎、とか。どちらにしても猫科ですね」

――それはどういった意味で?

「どんな目に合っても瞳の輝きをなくさないところが似てると思います。あとは、私の腕の中にいる時の表情、とか」

――いま、さらっと、大人な発言が漏れましたね(笑)

「そうですか?(笑)」

――では、最後にその恋人に一言、お願いします!

「…愛してます。これからもずっと一緒にいましょう」
(直江の真摯な表情にその場にいた皆の動きが止まる)
――・・・・・・なんだか、聞いているこっちまで照れてしまうような響きでしたね・・・
   いつか、私も言われてみたいです。
   ではでは、お二人とも、ご協力ありがとうございました!


〜 f i n 〜


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