散
闇の中で瞳を開けると
視界に飛び込んでくる真紅の池
闇を呑むほどの紅(あか)
血
ち
チ
真紅の血液
一面の紅(あか)
散った生命
オレが今まで啜ってきたモノ
混ざりすぎて個をなくし
個をなくしたがゆえに純粋な
虫を誘う食虫花のように
甘い血の香りで
オレを呼ぶ
オレの血だけが足りないと
オレの苦しみだけが必要だと
もうすぐ消える灯
もう止まる血の巡り
今に終わる夢
お前達が呼んでいたからなのか、
お前達から未来(さき)を奪ってきたからなのか
自業自得すぎて
神を罵る言葉も出てきやしない
オレの流した血が引力を持って
その濡れた真紅が
――――オレを呼ぶ――――